RCS(リッチ コミュニケーション サービス)は、スマホで利用できるメッセージ機能の一つで、従来の SMS の機能を拡張したものです。長文や高品質の写真や動画の送信など、これまで対応できなかった高機能なサービスが追加されました。RCS は、Google メッセージや+メッセージなどで採用されています。本記事では、RCS の概要や特長、従来の SMS や MMS との違い、Android スマホで利用する方法を紹介します。
RCS とは? 特長を紹介
RCS とは、「Rich Communication Services / リッチ コミュニケーション サービス」の略称で、スマホでメッセージを送受信する標準規格の一つです。電話番号でメッセージを送信できる SMS(ショート メッセージ サービス)に機能を追加し、使いやすくしたものです。
相手の電話番号宛に送信できる点や、2 段階認証に利用できる点などは SMS と同じですが、より高機能に進化しました。文字数の上限が多く、写真や動画、音声メッセージなどのコンテンツの共有や、ステッカー、リアクションの送信、既読・入力中の確認、グループ メッセージなど、さまざまな機能を備えています。
また、RCS は従来、事業者間で仕様が異なっていましたが、共通するサービスや相互接続のための仕様が、国際標準として定められました。現在は RCS アプリ同士で互換性がなく、異なるアプリでは SMS の範囲でのメッセージしかやりとりできないこともありますが、今後は相互運用が進み、OS などのプラットフォームも問わず、広く普及していくことが期待されています。
ここからは、RCS の特長を紹介します。
送受信はモバイルデータ通信
RCS の宛先は電話番号ですが、主にモバイルデータ通信を利用して送受信を行い、Wi-Fi 環境でも利用できます。ご自身のモバイルデータ通信の契約プランや通信環境によっては、個別のメッセージにかかる通信料金を気にする必要なく利用できるでしょう。
なお、SMS として利用する場合は、送信文字数に応じて SMS の料金が別途かかります。
長文やコンテンツの送信
RCS は従来の SMS と比較して、より長文メッセージの送信が可能になり、詳細な情報や複雑な内容を一度に伝えることができるようになりました。
さらに、画像や動画、音声データ、位置情報、ドキュメント ファイルなど、多様なマルチメディア コンテンツの送受信にも対応しています。
多様なコミュニケーション
RCS は、より気軽で楽しいコミュニケーションを可能にします。アプリによって利用できる機能やその名称は異なりますが、感情を端的に表現できるスタンプを送信したり、メッセージに対してリアクションを送ったりすることで、手軽に素早く感情を伝えられます。
また、RCS でのメッセージでは、Gboard のステッカーや、動きのある GIF 画像などの送信も可能です。
既読や入力中の確認
RCS では、スムーズなメッセージのやりとりを実現する機能が備わっています。
送信したメッセージが相手に読まれたかどうかを確認できる機能があり、相手が読んだメッセージには既読のマークがつきます。重要な連絡を送る際に安心できるかもしれません。
また、相手が入力中であることがわかるインジケーター機能も備わっています。メッセージに返信するタイミングが測りやすく、会話が逸れてしまうことなくスムーズに運ぶでしょう。
グループ メッセージ
RCS にはグループ メッセージ機能があります。仕事やプライベートで複数人と、同じメッセージ内でやりとりが可能です。
これまで紹介したコンテンツやステッカーの送信、既読機能、入力中機能などは、グループ メッセージでも利用できます。
RCS と SMS、MMS の違い
スマホで使えるメッセージ サービスは、RCS の他に SMS と MMS(マルチメディア メッセージング サービス)があります。それぞれ、宛先や通信の方法、送信できる情報量などが異なります。SMS、MMS、RCS の特徴をそれぞれ、以下の表にまとめています。
できること / メッセージ | SMS | MMS | RCS |
宛先 | 電話番号 |
メールアドレス ※同じ携帯通信会社の場合は電話番号 |
電話番号 |
利用できる 携帯通信会社 |
MVNO を含むすべての携帯通信会社 |
一部の携帯通信会社 |
RCS 規格に対応する携帯通信会社 |
通信料金 | 1 通ごとに送信料がかかる。文字数や携帯通信会社によって金額は異なる。 受信は基本無料。 |
モバイルデータ通信または Wi-Fi |
モバイルデータ通信または Wi-Fi |
文字数 | 最大全角 670 文字 ※機種によって異なる |
実質制限なし | 実質制限なし |
コンテンツの送信 | ✕ | マルチメディア対応 最大 2 MB |
マルチメディア対応 最大 100 MB |
会話の相手と位置情報の共有 | ✕ | ✕ | ○ |
既読通知 | ✕ | ✕ | ○ |
タイピング インジケーター | ✕ | ✕ | ○ |
グループ メッセージ | ✕ | ✕ | ○ |
※詳細は使用するアプリによって異なる場合があります。
Android スマホで RCS を使うには
国内の大手携帯通信会社は共同で「+メッセージ」という RCS に対応したメッセージ アプリを提供しています。詳しくは月額利用料なしで利用できる「+メッセージ」とは? SMS との違いや機能について解説をご確認ください。
また、Google メッセージは、RCS でメッセージを送信できる Google の公式アプリです。デバイスと携帯通信会社が RCS に対応していれば利用できます。Google メッセージの RCS では、フォト文字やリアクションなど、オリジナルの機能も利用できます。
なお、とても便利な RCS ですが、相手が RCS に対応していないときや、互換性のない RCS を利用しているときは、自動的に SMS での送受信となる点に注意しましょう。前述のとおり、SMS で送信する場合には SMS の料金が発生します。
RCS を利用する際は相手のメッセージ サービスを確認してから送信するとよいでしょう。アプリによっては、メッセージ画面の入力欄や送信アイコンなどの表示が変わり、どのメッセージ サービスとして送信されるかわかるようになっています。
RCS でコミュニケーションをもっと楽しく便利に
RCS は、SMS の機能を拡張したメッセージ機能です。電話番号でやりとりでき、データの送受信には Wi-Fi やモバイルデータ通信が使われます。RCS では画像や動画などのコンテンツの送受信やグループ メッセージのほか、既読や入力中の通知など、コミュニケーションを円滑にする機能も備わっています。
RCS を利用して、家族や友人とのコミュニケーションをもっと楽しくしてみませんか。
※本記事で紹介した内容は、Android のバージョンや機種によって異なる場合があります。
※本記事で紹介した内容は、執筆時(2025 年 4 月)のものです。
2024 年 11 月 13 日
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